ソーシャルレンディングとは?仕組みやリスク、危ないと言われる理由を徹底解説

2021.7.7

のちに撤回されているものの、2019年に話題になった「老後資金2,000万円問題」によって資産形成に関心を持つ人が増えています。それに伴い、資産形成の一つである「ソーシャルレンディング」の人気が高まっていますが、一方で「ソーシャルレンディングは危ない」という声もあります。

この記事ではソーシャルレンディングの仕組みやリスクについて解説します。

 

ソーシャルレンディングとはどんなサービス?

 

ソーシャルレンディングの仕組み

ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい企業とお金を貸したい投資家をマッチングさせるサービスです。

クラウドファンディングには、購入型・寄付型・貸付型・ファンド型・株式型の5種類があり、ソーシャルレンディングは「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれています。

貸付型は事業者が仲介し、資産運用をしたい個人投資家から小口の資金を集め、大口化して企業に融資する仕組みです。ソーシャルレンディングは少額から始められることや、金銭的なリターンを狙えることがメリットです。金融商品の一種になるので、事業者は金融商品取引法や貸金業法などの法律規制を受けます。

 

企業がソーシャルレンディングを利用する理由

企業がソーシャルレンディングを利用する理由として、「創業年数が浅くて取引実績が乏しいために銀行からの融資が十分に受けられない」「銀行からの追加融資が難しい」などの理由があります。 

 

ソーシャルレンディングは市場の影響を受けにくい

ソーシャルレンディングの金利は、運用期間が終了するまで変動しません。株式投資などは日々株価が変動するので価格を頻繁にチェックする必要がありますが、ソーシャルレンディングにはそのような負担はありません。

ニュースや株価などをチェックする時間がないという人でも、ソーシャルレンディングを利用すればストレスなく安心して資産運用ができます。

 

ソーシャルレンディングの市場規模

2019年のクラウドファンディングの市場規模は1326.6億円です。そのうち、ソーシャルレンディングは1152億円(86.8%)となっています。クラウドファンディングの市場規模では、ソーシャルレンディングが大部分を占めていることがわかります。

 

ソーシャルレンディングで投資家が受け取るリターン

ソーシャルレンディングは高い利回りも魅力で、5%程度のリターンが望めるファンドが多くあります。

ソーシャルレンディングを利用するのは、業歴が比較的浅くて規模が小さいことから、一般的な金融機関の審査では資金調達が難しいという企業が多いです。ソーシャルレンディングはそういった場合の資金調達の手段になりますが、その分銀行よりも高い金利を支払わなければなりません。こういった背景から、投資家が受け取る利回りも高くなる傾向にあります。

 

ソーシャルレンディングは危険性が高い?

ソーシャルレンディングは高い利回りが見込めますが、元本が保証されているわけではありません。ソーシャルレンディングに投資するときは、以下の点に注意してください。

 

行政処分を受けた業者がある

2017~2018年にかけて、複数のソーシャルレンディング事業者が行政処分を受けています。行政処分を受けると、業務停止命令や登録取消などの処分になる可能性があります。行政処分を受けたということは、営業体制や資金管理などに何らかの問題があったいうことです。

ソーシャルレンディング事業者が倒産してしまうと資金が返ってこない恐れもあるので、過去に行政処分を受けた事業者では、投資するかどうかを慎重に判断しなければいけません。

 

遅延(返済が遅れている)が発生している事業者がいる

ソーシャルレンディングの案件の中には、返済が遅延しているケースもあります。通常、ソーシャルレンディングの案件では運用期間が決まっているので、運用が終了したら資金は投資家に返されます。

しかし、ソーシャルレンディング事業者の中には、運用期間が終了しても投資家に資金を返していない事業者もいるのです。ソーシャルレンディングの案件を選ぶときは、事業者が過去に遅延を起こしていないかを必ず確認するようにしてください。 

 

貸し倒れが発生した案件もある

遅延だけでは損失は確定しません。いずれお金が返ってくる可能性があるからです。しかし、貸し倒れが発生した案件もあります。貸し倒れが発生してしまうと、お金が全額戻ってこない可能性があります。

 

ソーシャルレンディングは原則解約できない 

ソーシャルレンディングの運用期間は3カ月から2年程度と様々ですが、原則途中で解約できない仕組みになっています。そのためソーシャルレンディングに投資するときは、生活資金ではなく余裕資金で行うようにしてください。

 

ソーシャルレンディングのリスクや問題点を回避する方法

 

複数のファンドに分散投資する

ソーシャルレンディングでは、遅延や貸し倒れが起こるリスクがあります。ですから、ソーシャルレンディングで投資を開始する場合は、複数の案件に分散投資することが大切です。ソーシャルレンディングは少額(最低投資金額1万円から始められる事業者が多い)から投資できるので、分散投資もしやすくなっています。

分散する場合は、案件だけでなく事業者も複数に分けておくようにしましょう。そうすれば1件の案件が万が一ダメになっても、他の案件で損失に対応できるからです。ソーシャルレンディングは元本が保証された商品ではないので、必ずリスク管理を徹底するようにしてください。

 

利回りが高い案件には気をつける

ソーシャルレンディングは5%程度の高い利回りが期待できますが、10%を大きく超えるような案件には注意が必要です。それだけ高い金利を設定していると、返済できない企業が出てくる可能性が高まるからです。

リターンが高くなれば、その分リスクも大きくなるので注意してください。 

 

担保評価額や事業者の信頼性などをチェックする

ソーシャルレンディングでのリスク回避はどのように行っていくべきでしょうか。まずデフォルト(債務不履行)が発生した場合を想定し、不動産などに担保があるのか、さらに不動産の担保評価額はどの程度なのかということを必ず確認するようにしましょう。

また、ソーシャルレンディング事業者が信頼できるかどうかも大切なポイントです。過去に遅延や貸し倒れを起こしていないか確認しましょう。さらに、コンプライアンス体制はしっかりしているのか、投資に対するリスク管理は徹底しているのかなどをチェックすると安心です。

 

どちらが安全?ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの違い

ソーシャルレンディングは不動産を対象にしたファンドもありますが、同じく不動産に投資する方法として「不動産クラウドファンディング」があります。両者の違いと、どちらの安全性が高いのかについて解説します。

 

不動産クラウドファンディングとは

不動産クラウドファンディングは、インターネットで投資家から資金を集め、不動産に直接投資します。投資家には運用期間中に不動産投資から得られた家賃収入などから、事業所の運営報酬を差し引いた金額が分配金として支払われます。

不動産クラウドファンディングは日々の値動きが生じないので、投資家は資金が返還されるまで値動きを気にすることなく、配当金を確認するだけで済みます。これは不動産クラウドファンディングの大きなメリットだと言えます。

 

利益の出し方の違い

ソーシャルレンディングは企業への融資なので、融資した資金の返済金利からソーシャルレンディング事業者の報酬を差し引いた金額が分配金となります。返済金利は固定金利が通常なので、ソーシャルレンディングの分配金はあらかじめ決まっているのです。

一方の不動産クラウドファンディングの場合、不動産投資で得た家賃収入や売却益が投資家に配分されます。ですから、目安となる利回りは提示されていますが、その利回りを上回ることもあります。

 

融資先が公開されているか

不動産クラウドファンディングでは、不動産の購入を行うのは不動産会社です。そして資金の用途が公開されていて、実際に取得する物件の情報を簡単に調べることができます。ですから投資家は、物件の住所や築年数などのデータを確認して投資するかどうかを決めることができるのです。

一方、ソーシャルレンディングでは一部融資先の情報公開が進んでいるものの、匿名の案件も多く、どのような物件を取得するのか詳細な情報が公開されていないのがほとんどです。ですから、物件の条件を判断して投資したい場合は、不動産クラウドファンディングの方が適しています。 

 

途中解約できるか

ソーシャルレンディングは貸金業なので、途中解約は原則としてできません。しかし不動産クラウドファンディングは貸金業ではないので、キャンセル料を支払うことで途中解約できる場合があります。

例えば、不動産会社の不祥事などきちんとした理由があれば、投資家は返金を申し込むことができるのです。

 

不動産クラウドファンディングでは損失が発生しにくい

不動産クラウドファンディングは元本が保証されているわけではないので損失になる可能性もありますが、ファンドの多くで「優先劣後方式」が採用されています。優先劣後方式では、投資家が先に物件に出資しますが、不足する資金は運営している法人が出資します。

利益が発生すると、先に投資を行った投資家から優先的に利益を受けられます。さらに、損失も優先的に回避できるというメリットがあります。

 

不動産価格が値下がりした場合

損失が出た場合は、後から出資した法人が値下がり分の損失を被る仕組みになっています。例えば30%の割合で法人が出資していた場合は、不動産価格が30%値下がりしても損失は法人が負担し、投資家には損失が発生しません。ただし、30%以上値下がりした場合は、損失が出る可能性があるので注意が必要です。

 

安全性は不動産クラウドファンディングの方が高い

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングを比べると、ソーシャルレンディングの物件は情報開示などが不十分と言えます。ですから、投資家は物件の詳細を調べるのが難しくなります。

一方の不動産クラウドファンディングでは、物件情報が開示されていたり、途中解約ができる案件もあったりと、ソーシャルレンディングよりもリスクは低いと考えられます。ただし、どちらも利回りが確定しているものではないので、想定利回りよりも高くなる場合もあれば、低くなる場合もあることを覚えておきましょう。 

 

まとめ

ソーシャルレンディングは銀行預金などに比べて高い利回りが望めますが、元本が保証されておらず、遅延や貸し倒れなどのリスクもあります。まずは少額から複数の案件に分散投資し、リスクを抑えた運用を心掛けましょう。または、ソーシャルレンディングよりも安全性が高い不動産クラウドファンディングを検討するのも一つです。

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