不動産投資クラウドファンディングとは?仕組みや投資のメリット、リスクをおさらい
不動産投資の手法は、いくつかに分類されます。近年、新たな不動産投資のスタイルとして注目されているのが、不動産投資クラウドファンディングです。今回は、この不動産投資クラウドファンディングの仕組みや概要についてわかりやすく解説していきます。
目次
不動産投資型クラウドファンディングの仕組み
クラウドファンディングとは、1つの達成目標のために、複数の出資者から少額ずつ資金調達を行う方法のことです。ここでは不動産投資クラウドファンディングの仕組みについて、ポイントごとにまとめていきます。
不動産投資クラウドファンディングの概要
不動産投資の新たなジャンルとして、近年注目されているのが不動産投資クラウドファンディングです。仕組みは不動産投資信託に少し似ていますが、投資対象が全く違います。
不動産投資信託では複数の不動産に投資するのに対し、不動産投資クラウドファンディングの投資対象の不動産はひとつです。一方で、投資家から少額ずつ資金調達を行う点は、いずれも共通しています。
不動産特定共同事業とも呼ばれる
不動産投資クラウドファンディングは、複数の投資家から出資金を集め、対象の不動産に投資をする仕組みです。この仕組みを、不動産特定共同事業といいます。
不動産特定共同事業に参加している投資家は、不動産特定共同事業法という法律で守られています。また、不動産特定共同事業を行う事業者は、この法律の下で許可を得て事業をすることになります。
不動産投資型クラウドファンディングの利益
不動産投資クラウドファンディングの利益とは、主に対象不動産の運用益や売却益を指します。物件自体の運用益(具体的には賃料収入など)がメインであるため、株価の変動を受けにくく、他の不動産投資よりも値動きが安定しているのが特徴です。
不動産投資クラウドファンディングの投資先
不動産投資クラウドファンディングの投資先は、必ずしも居住用の物件ではなく、民泊用の物件や、ホテルなどの宿泊施設の場合もあります。事前に投資先の情報開示がなされており、投資家はあらかじめさまざまな情報収集を行うことが可能です。
その他の不動産投資と異なるポイントは?
現物不動産投資
現物不動産投資とは、実際の不動産物件のオーナーになり、その家賃収入で利益を得るというものです。投資対象の物件の形態は問いませんが、直接投資物件のオーナーになることを総称して、現物不動産投資といいます。
不動産投資クラウドファンディングと現物不動産投資の違いは、対象不動産に対してオーナーが1人であるか、複数であるかということです。前者は1つの不動産に対して出資金を出し合ってオーナーになりますが、後者は自身のみがオーナーとなり家賃収入を得ます。
不動産投資信託(REIT)
一般的にREIT(リート)と呼ばれる不動産投資信託も、不動産投資のひとつです。投資家はファンドに出資する(投資する)だけで、実際にオーナーになるわけではありません。不動産投資法人が集まった資金を基に運用し、投資家に利益を還元する仕組みです。
不動産投資クラウドファンディングと不動産投資信託の違いは、証券化されているかどうかという点です。不動産投資信託は証券化されて、証券取引所で取引されます。一方、不動産投資クラウドファンディングでは、実際の不動産(運営会社)に対して出資をします。
不動産投資型クラウドファンディングで投資するメリット
ここまで、不動産投資クラウドファンディングの概要をまとめました。ここからはさらに具体的なメリットを紹介します。
投資先を自分で選ぶことができる
不動産投資クラウドファンディングでは、どの物件に投資するかを自分で決めることができます。1つの不動産に対して複数のオーナーがいることになり、形態としては直接投資の不動産投資と近いものがあります。
具体的にどの物件に投資をしているか見える状態であることは、投資家としても安心であり、大きなメリットです。
出資するだけで手間がかからない
不動産投資クラウドファンディングでは、投資家は申し込みを行って出資するだけで手続きが済みます。その他ほとんどの手続きは運営会社が行ってくれるため、何もする必要がありません。
対象不動産の物件概要などの調査に関しても、投資家が個人で詳細に行う必要がなく、事前リサーチの段階から手間がかかりません。
投資金額は少額から可能
不動産投資クラウドファンディングは、現物不動産投資のように大きな資金で行う必要がありません。取り扱う会社にもよりますが、1万円から出資できる場合が多いです。
不動産投資に興味はあるが手持ちの資金が少ないという場合には、クラウドファンディング型の不動産投資がおすすめです。
ほとんどが優先劣後方式を導入している
リスクが高そうに感じる不動産投資に対して、たとえ少額からスタートできるとしても不安を感じることはあるのではないでしょうか。その点、不動産投資クラウドファンディングの多くは、「優先劣後方式」という仕組みを導入しています。
優先劣後方式を簡単に言うと、優先されるのは投資家であり、劣後(後回し)にされるのは事業者であるということです。つまり、利益が出た場合や損失が出た場合、いずれにおいても資金を優先されるのは投資家です。
この優先劣後方式を導入している事業者(会社)で不動産投資クラウドファンディングを利用する場合は、万が一損失が発生しても優先して出資金を守ってもらえます。
不動産投資型クラウドファンディングで注意すべきリスクと対処法
ここまでメリットについて紹介しましたが、不動産投資クラウドファンディングでも全くリスクがないとは言えません。
クラウドファンディングも含めた不動産投資全体は、数ある資産運用商品の中でもハイリスク・ハイリターンの商品に分類されます。もちろん、リスクを正しく知って対処法を念頭に置けば、投資を有利に進めることは可能です。
ここからは、想定されるデメリットやリスクと、その対処法についてまとめていきます。
インターネットによる情報収集がメインである
不動産投資クラウドファンディングの情報収集は、SNSやWebサイトなどインターネット上がメインとなります。したがって、普段からそのような環境を利用することが多い人は有利ですが、あまりインターネット環境を使い慣れていない場合は注意が必要です。
また、不動産投資クラウドファンディングのほとんどは、申し込みや購入が全てオンラインで完結するものばかりです。インターネット環境の整っていない場合や使い慣れていない場合は、そもそも投資を始めにくいということも考えられます。
換金性が低い
不動産投資信託(REIT)は上場している投資信託商品であるため、万が一売却して現金化したい場合でもスムーズに手続きが済みます。最短で翌営業日には着金することもあります。一方で、不動産投資クラウドファンディングは換金性が低く、あらかじめ決められた運用期間内の解約ができない場合もあります。
換金性が低いということは、長期間の資産運用としては不向きであるといえます。対処法として、この他に長期運用に適した資産運用も並行しながら、自身のポートフォリオの1つに組み込むと良いでしょう。
元本の保証がない
投資した資金の元本保証は一切ありません。元本保証のリスクを軽減するためには、必ず余裕資金で行うようにしましょう。もし万が一大きな損失が出た場合でも、余裕資金で投資をしていれば、日々の生活への影響は少なくて済みます。日常生活を守るためにも、余裕資金の範囲で投資を行うということは徹底しましょう。
募集時の利回り(利益)は約束されていない
不動産投資クラウドファンディングでは、申込時の情報が運用期間中すべてに適用されるというわけではありません。つまり、当初提示されている利回りが約束されているわけではないということです。
これは不動産投資に限らず、その他の投資商品でも当初の想定利回りと実際の運用結果がかけ離れていることはあります。つまり「少しでも増やしたい」と思って出資した場合でも、うまくいかない可能性があります。先の予測が立たないという意味でリスクと捉えておきましょう。
不動産投資クラウドファンディングはどんな人におすすめ?
資産運用が初めての投資初心者
不動産投資クラウドファンディングは出資するだけでよく、一連の手続きはほとんど運営会社が行ってくれます。このことから、これまで資産運用をしたことがない投資初心者にもおすすめできます。
また、多くの場合で1万円からの少額投資が可能であることも、投資初心者へおすすめできるポイントです。
インターネットでの情報収集が得意な人
不動産投資クラウドファンディングは、事前の情報公開や申し込みがインターネットで完結します。人気のファンドはすぐに売り切れてしまうことから、良い情報は早く入手できた方が有利です。インターネットを通じた情報収集が得意なのであれば、不動産投資クラウドファンディングを始めてみるのがおすすめです。
まとめ
不動産投資クラウドファンディングは、近年人気のある新しい不動産投資の形です。メリットは、大きな投資資金がなくても1万円程度から運用を始められる点です。投資家は出資さえすればよく、対象不動産の維持管理は運用会社が行ってくれることから、投資初心者でも始めやすいでしょう。多少のリスクはありますが、正しく情報収集をし、信頼できる運用会社で実践してみることをおすすめします。